知見・事例
伊藤忠商事におけるCSR推進活動(4/5)
6.CSR推進機関 - タスクフォース
山口:先ほど、高井さんのお話にあった、タスクフォースのお話をお伺いしたいと思います。
CSRタスクフォースでの議論を推進の基盤とする考え方でここ3~4年やってこられましたよね。
CSR推進体制図
高井氏:タスクフォースは、タスクフォースとしての一種の義務感で仕事として参加しているんでしょうけれども、共通の目標を持ち、結果的に物(CSRレポート)が出来る達成感みたいなものを、仲間意識の中で共有しています。この形でCSRは年々浸透していっているのだと思います。ある程度時間がかかるし、言い続けていれば時間とともに少しずつアベレージが上がってくるという感じがあります。
山口:御社のタスクフォースの特徴は、CSR推進とレポート制作を一体でやられている点だと思いますが、今からやろうとされている実活動について事前アナウンスを行うという側面があるし、これから何をやるか、を議論するという側面もありますね。
高井氏:タスクフォースメンバーが入れ替わったとしてもタスクフォースにいた方が現場に戻ったら、その方が現場でCSRを推進してくれる。そんな風に協力いただける方が増えていけばいいと思います。
7.意識啓発
山口:次は意識啓発について伺います。これは本当に多面的にやっておられて、1つずつ思い出すと、よくいろいろなことをやってこられたなという感じがします。
桜本氏:やっている私たちより、本当は啓発を受けている人たちに聞かないとだめなんでしょうね(笑)。
高井氏:啓発を受けた側からすると、何か弾が多いな、という気がします(笑)。
山口:いろいろな施策の中で、特に、伊藤忠商事自作のCSRビデオを見て、その後各部で議論をしてください、というのは普通の会社だと難しいように思います。
CSR啓発ビデオ 英文版(左)・中文版(右)
高井氏:ここまで手を掛けているんだったらフォローしてあげないと悪いんだろうなと(笑)。
山口:社員アンケートについては、アンケートの回収率が80%というのはすごいものですね。
桜本氏:レポートを読んで考えてもらうためのアンケートなんですが、現場はお尻を叩かれているので、効果はいか程か分からないですし、カンパニー間での競争意識が回答率を上げているという側面もあります。
山口:アンケートをとった上で、各部でワークショップを行い、意見を提出していただくところまで行い、それでもまだ本当に浸透しているか分からない、と言える段階の企業は、恐らく少ないと思います。
昨年作られた、全社のステークホルダーダイアログのダイジェストビデオは良い内容だと感じました。2時間の座談会を30分に凝縮しておられましたね。
桜本氏:評判もいいような気がしますね。
高井氏:座談会の内容が整理されていて、河口真理子さんもご覧になって褒めてくださったそうです。
桜本氏:「ダイアログで言われていましたし」と、今だにこのダイアログをリファーしてくれる人が社内でもいっぱいいるんです。サプライチェーンマネジメントをやるんですよ、と言う時も「既にステークホルダーダイアログでも指摘がありましたように」と言うと、みんな納得してくれる感じはあります。テーマが大きかったからドキドキしましたけれども。
山口:社長が出席される、ということも大きな要素ですね。
桜本氏:社長は「言ってくれれば行くよ」とすぐに言ってくれます。
山口:一番上に立たれる方がオープンマインドの人というのは、やはり会社の奥深さを決めているなと思います。
小林さんにお目にかかって思うのは、全体をよくご覧になっている人だということです。何か言われたからといって、いちいち反論するのでなく、「うーん」と頷いて聞いておられます。その度量はすごいと思います。
桜本氏:みんながそうおっしゃいますね。
山口:ダイアログの司会をさせていただく時に感じたのは、傍聴しておられる社員の方々の熱気です。座談を取り囲んで社員の方々が座っておられますが、皆さんが目を爛々とさせて議論を見ておられました。