知見・事例
メタルワン 社員手作りの企業理念(1/3)
- 長井 哲朗 様 (副社長執行役員、当時の役員理念制定諮問メンバー):左から2人目
- 逆井 猛 様(執行役員コーポレート担、当役員当時の営業部長):右から2人目
- 原 康成 様(人事部長代行、当時の人事部):左から1人目
- 金澤 直輝 様(総務部長、当時のCSR事務局):右から1人目
実施年月日 | 2009年8月4日 |
---|---|
聞き手 | 株式会社CSR経営研究所 CSRコンサルタント 山口 智彦 |
株式会社メタルワン 会社概要
メタルワン設立の経緯
グローバルな鉄鋼業界の再編・統合の中で、三菱商事と日商岩井(現双日)の鉄鋼製品事業部門は、それぞれの母体から分離し、統合によって大きなプラットフォームを作り、体質・機能を強化することが不可欠と判断して、2003年1月に新会社「メタルワン」を設立しました。
会社名 | 株式会社メタルワン |
---|---|
設立 | 2003年1月6日 |
代表者 | 代表取締役社長執行役員兼CEO 松岡 直人 |
本社 | 〒105-0014 東京都港区芝3-23-1 セレスティン芝三井ビルディング |
資本金 | 1,000億円 |
株主 | 三菱商事株式会社、双日株式会社 |
規模 | 連結総資産 約1兆583億円(2009年3月期) 連結売上高 約3兆3,316億円(2009年3月期) |
従業員 | 1,320名(単体)、約10,000名(連結) |
事業概要 | 「鉄鋼総合商社」として、鉄鋼メーカーと需要家をつなぎ、そこに生産・物流・加工の諸機能も加えた鉄鋼流通業を国内外で展開する。 |
ホームページ | http://www.mtlo.co.jp/jp/ |
1.企業理念制定の目的とは
山口:社員が志を持って生き生きと働くことは、CSRの観点でもとても重要な事柄だと思います。
風土の異なる二社が一緒になる、ということは会社と社員にとって最大のチャレンジですが、メタルワンはひとつの会社になる中で、このことにどう取り組んだかということを、そのための支柱とされた理念策定と浸透を通してお話を伺いたく思います。
具体的には、企業理念をどのような目的で作ったか、また、その策定プロセスとその間の悲喜、さらに理念はどのように役立っているかなどを、制定のフロントでおられた皆様にお集まりいただいてお聞かせいただければと思います、宜しくお願い申し上げます。
長井氏:メタルワンは、三菱商事と旧日商岩井の鉄鋼製品事業部門が一緒になって新しく作った会社です。
メタルワンが設立される2003年以前、かなり長い期間、旧三菱商事と旧日商岩井の人たちでどういう会社をつくればよいのかの話し合いがされました。
それまでは競合者として戦ってきたわけですけれども、その2つの会社が一緒になり、新しい会社を作っていくことになったわけです。この時、企業理念は作らずに、具体的目標であるビジョンとミッションを策定しました。
金澤氏:当初、「なぜこんな会社を作るのか」というのを社外にも、社内にも分かりやすくするために、どんな会社、つまり観念的ではなくて「何をする会社か」ということを、ビジョンとミッションで示したんですね。企業理念を作る、作らないという議論は、まだまだ先の話であって、どういう会社にしたいかということでまずは突き進もうということでした。
長井氏:ビジョンとミッションは、外部環境の変化などによって、将来変わり得るんです。でも、理念は何があっても変えないというか、時間が経っても環境が変わっても変わらないものとして作っていこう、という気持ちがありました。
企業理念というのは、会社が年月を少し経て、みんなの想いがある程度共通化したときに作るものだろうと思います。企業理念を決める期間というのは少し時間が経って、実際は3年後になりました。
原氏:企業理念に取り掛かったのが2006年でしたが、その前の2005年に、「メタルワンDNA調査」と称して社員にアンケートを行いました。メタルワンらしさって何なのか、社員がどんな想いで仕事をしているのかを一度調査してみようと考えた訳ですが、結果として、かなり率直な意見が出てきました。
長井氏:全社員の様々な言葉に、新しい会社への想い、期待、喜怒哀楽が溢れていましたね。それを基に、会社として、理念として心に残るものを作っていこうということで始まったんです。
原氏:DNA調査を通して、メタルワンっていろんな課題を抱えているね、という共通認識がでてきて、これを本格的に議論していくための出発点としては効果的だったのかなと思いますね。
金澤氏:DNA調査をベースに、一度社員に議論をしてもらうことになった際に、社内の人間だけでやっていたのではニュートラルにならない、ギアが違っていては困るということで、クレアンさんにお願いをして参加してもらいました。