Sustainabilityマガジン(vol.1創刊号)2011.3.7号
Sustainabilityマガジン 2011.3.7号(vol.1創刊号)
====================== http://www.cre-en.jp/
現在、中東・アフリカで民主化の嵐が吹き荒れています。創刊号は、
この原動力となった「ソーシャルメディアとCSR」との関係について
のコラムのほか、マイケル・ポーター教授が提唱する「CSV」に関する
ショートレポートなどを取り上げます。
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◇◆ 1. Cre-enからの案内
◆◇ ~ レポート3点を掲載 ~
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1)レポート2点を公開
1点目は、ドラッカーの言葉から「CSRとは何か」を解説したレポート。
2点目は、ハーバード大学マイケル・ポーター教授が提唱する「CSV」
の要点をまとめたレポートです。弊社WEBでご覧いただけます。
→ http://www.cre-en.jp/library/opinion/
2)ISO26000シンポジウムの簡易記録を公開
2011年1月26日に開催したISO26000シンポジウムの簡易記録を、弊社
WEBで公開しました。
ISO26000の策定に尽力されたブラジル起草委員のAron氏の基調講演
をはじめ、登壇者の皆さまからISO26000の影響と活用法について、
本質的なご議論・ご提言がありました。
→ http://www.cre-en.jp/library/opinion/
http://www.cre-en.jp/library/seminar/101214/
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◇◆ 2. Sustainability Colum
◆◇ ~ ソーシャル・ネットワークとCSR ~
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●民主化とソーシャル・ネットワーク
中東・アフリカの民主化は、長年の圧政に対する民衆の憤りが、
ソーシャル・ネットワークを介して一つになり、社会を動かす
大きな力となりました。
特に「facebook」はユーザー数が6億を超える巨大ソーシャル・
ネットワーク・サービスで、最大の特徴は友人や知人などの
「実名」の人間同士のコミュニケーションを促進することで、
単に情報の共有・発信だけでなく、人と人との「つながり」を
通じて「共感」を呼び、新たな価値の創造に力を発揮する点に
あります。
これに関連し、先日ソーシャル・カンパニーの市川さんに来社
いただき、ソーシャル・メディアの動向について話を伺いました。
(http://www.socialcompany.org/)
その中で、いくつか衝撃的な数値に出会いました。
1つ目は、デジタル技術に囲まれて育った若者世代の96%が
ソーシャルネットワークに参加しているというデータ。
2つ目は、英国のモバイルインターネットに流れる情報の50%が
Facebook経由で、もしここで「企業の商品やサービスへのネガ
ティブ情報」が語られれば瞬く間に広まるというもの。
3つ目は、世界のトップブランド上位20位の検索結果の25%が、
企業ではなくユーザーが創ったコンテンツというもの。
4つ目は、ブロガーの34%が商品やサービスに関する投稿を
行なっているというデータ。
5つ目は、マスメディア広告を信じる消費者は14%に対し、
「友人・知人」の評価に関心を払う消費者は78%というデータ。
これらは、昨年5月に公表されたバイラルビデオ「Social Media
Revolution 2」で紹介されたデータの一部です。
(http://www.youtube.com/watch?v=IV3CjtZRwEk)
データの信頼性はともかく、これらからソーシャル・メディア
の企業活動への影響をどのように見ればよいでしょうか?
●ソーシャル・ネットワークとCSR
インターネットの普及は、ネガティブ情報が瞬時に広がる環境を
生み出し、企業がCSRに取り組む要因の一つになったと言われて
います。しかし、ネガティブ情報の多くは積極的に探さなければ
入手できない場合が多く、市民社会やNGOが発達した欧州などを
除けば、企業への影響は限られていた側面があります。
一方、現在急速に広がりつつあるソーシャル・ネットワーク、
中でもfacebookは、「実名」の人々の「口コミ・噂」を通じて
情報を伝達するため、価値観が近い人々の間に急速に、高い信頼
性を持って情報が広がります。
企業のネガティブ情報が一度ソーシャル・ネットワークに流れる
と、その履歴は記録され、企業にはコントロールできません。
そして一旦、ユーザーに「負の共感」の連鎖を引き起こせば、
企業のレピュテーションや事業活動に深刻な影響を及ぼす可能性
があります。
ソーシャル・ネットワークが発達した社会は、これまでのIT社会
よりも、格段にレピュテーションリスクが高まる可能性があるよ
うで、既にいくつもの事例が出てきています。
このような「特定・絶対多数」のステークホルダーに企業が監視
されるソーシャル・ネットワーク時代においては、隠し事や対話
から逃げることは困難であり、「透明性を保つこと」「友好的な
対話の姿勢を常に持つこと」が最低限必要になると考えられます。
●ソーシャル・メディアと日本企業
では、日本企業への影響はどうでしょうか?
日本のfacebookユーザーは250万人で多くありませんが、ユーザー
増加率は、3月初旬時点で毎週約10万人のペースで増えています。
( http://www.socialbakers.com/facebook-statistics/japan )
また、日本企業の進出先(アジア・欧州・南米など)は、ソーシ
ャル・メディア利用者に占めるfacebookユーザーが多い地域があり、
グローバルに事業活動を行う企業にとって、他人事とは言えない
状況が既に生まれています。(米国1億5000万人、インドネシア
3,500万人、英国2,900万人、インド2,200万人、フランス2,000万人)
●共感と対話の世紀へ
人類活動が地球の環境容量に見合っていた時代は、社会の最低限の
ルールである「法令」を守っていれば、多少、社会や環境に負荷を
与えていても、概ね企業は存続を許されてきました。
しかし、資源、エネルギー、雇用、気候変動など社会課題が山積し、
人々が危機感や閉塞感を感じ始めた社会では、法令を超えた、より
高い「社会規範」「行動基準」「価値観」を、社会の各主体に求め
ようになるのは、自然なことだと言えます。
「CSR」はこのような社会の「無形の声」の表れであり、これからの
社会は、全ての人が持続可能な発展にむけた「better alternative」
(より良い選択肢)を考え、社会課題の解決に何らかの形で貢献が
求められる社会になっていくと考えられます。
「ソーシャル・ネットワーク」は、このような新たな価値基準を
“共感の連鎖”を通じて社会全体に広げるプラットフォームの役割
を担っており、企業がコントロールできない“情報と共感の網”が
社会全体に広がり、緩やかに覆うことで、従来の一方向のメディア
報道やCM等によるブランディングでは、企業の価値や評価が守れない
時代が、すぐそこに迫っているのかもしれません。
折しも、社会的責任に関する国際規格「ISO26000」が、世界99ヵ国、
6セクターのステークホルダーの代表が結集して策定され、「持続
可能な発展」にむけた組織の責任に関する世界の共通認識と知恵の
結晶(The Great Global Agreements)が生まれました。
この中で、社会的責任を遂行する重要プロセスとして「ステークホ
ルダー・エンゲージメント」が位置づけられたこと、そしてソーシ
ャル・ネットワークとISO26000が時を同じくして誕生したことは、
偶然ではないように思われます。
(荒木 茂善、CSRコンサルタント)
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◇◆ 3. 新着Topics & News
◆◇ ~ サステナビリティ関連の動きからトピックスを紹介 ~
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◆ SAM社「サステナビリティイヤーブック2011」が発行
各分野のリーダー企業が発表されました。特集「水関連リスク」など。
→ http://www.sam-group.com/htmle/yearbook/
◆自然林の伐採禁止令-インドネシア
2010年以前に伐採許可を得た企業を除いて森林の伐採を禁止。伐採
許可を得ている企業は2年以内に自然林の伐採を止めなければ許可を
取り消す旨を公布。
→ http://www.thejakartaglobe.com/nvironment/no-more-
cutting-natural-forests-minister-orders/417570
◆「東アジアのCSRトップ企業30社」が発表
1010年12月韓国ソウルで行われたアジア未来フォーラム2010で
「東アジアのCSRトップ企業30社」が発表。
→ http://www.asiafutureforum.org/e_sub_04_01_v.html?
num=32&no=1
◆東洋経済新報社「第14回 環境報告書賞 サステナビリティ報告書賞」
環境報告書賞の最優秀賞を住友林業、サステナビリティ報告書賞の
最優秀賞を武田薬品工業が受賞。
→ http://www.toyokeizai.net/corp/award/kankyo/k_14/kankyo2.php
◆地球人間環境フォーラム「環境コミュニケーション大賞」発表。
環境報告大賞をパナソニック、持続可能性報告大賞を味の素、地球
温暖化対策報告大賞を東芝が受賞。
→ http://www.gef.or.jp/eco-com/14th_ecom_result.htm
◆ISO26000「JIS」化の検討開始
平成23年度にISO26000をJIS化する方向で検討開始。
→ http://www.jsa.or.jp/stdz/sr/sr.asp
◆国連持続可能な開発会議(Rio+20)
2012年5月に、国連持続可能な開発会議(Rio+20)が開催。
1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットは、
その後の世界の環境政策に多大な影響を与えました。
あれから20年後の2012年、同じくブラジルのリオで「国連持続可能
な開発会議(Rio+20)」が開催されます。日本ではあまり話題に
上りませんが、海外ではすでに活発な議論が交わされ、国際交渉
(準備会合)が始まっています。
21世紀の世界の枠組みを決める大きな会議になることが予想されて
おり、企業も市民も傍観者ではなく主体者として積極的に議論に
参画し、私達自身の手で責任と希望ある未来社会を創り出すことが
期待されます。
→ http://www.uncsd2012.org/rio20/
→ http://www.earthsummit2012.org/
→ http://earthsummit2012.jp/home.html
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