Sustainabilityマガジン(vol.5)2011.7.6号
Sustainability マガジン vol.5 (2011.7.6号)
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今回は「ステークホルダー・エンゲージメント」についての新たな動きを
取り上げたいと思います。
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◇◆ 1. クレアンからのご紹介
◆◇ 「CSRレビューフォーラム」の設立
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社会的責任に関する国際規格ISO26000は、社会的責任遂行の中核に「ステーク
ホルダー・エンゲージメント」を位置付け、以下のように述べています。
「 Stakeholder identification and engagement are central to addressing
an organization's social responsibility 」
「 An organization should respect, consider and respond to the interests
of its stakeholders 」
このエンゲージメントをどのように実践するかが、すべての企業に求められて
いますが、多くの日本企業にとってはどう理解し実践すればよいか、たいへん
困難な課題になっているようです。
一方、欧米では非常に発達した市民社会が、より良い社会や生活の実現に向け
て活発に活動しており、市民組織と産業界や企業との対話や協働は、社会の仕
組みとして当たり前のものとして根付いています。
その背景には、社会の多様な視点・価値観を代弁し、社会の公益に根ざした
活動を継続して行なうNPO/NGOには、豊富な資金や優秀な人材が集まっており、
社会の持続可能な発展に無くてはならない存在となっていることなどが挙げ
られます。
本年6月、日本における企業と市民組織との創造的なステークホルダー・エン
ゲージメントの実現を目差し、社会の最前線で社会課題の解決に取り組む10を
越える市民組織とそこに所属する個人がアライアンスを組み、企業と市民組織
との対話を推進支援する非営利組織『CSRレビューフォーラム』を設立しました。
◇CSRレビューフォーラムのWEBサイト
http://www.csr-review.jp/index.html
本フォーラムは、持続可能な発展にむけた社会的責任に関する世界の共通認識
と知恵の結晶であるISO26000を基盤として、企業と市民社会とのエンゲージメ
ントの推進を支援することことで、企業と市民社会とのより成熟した相互関係
の構築に貢献することを目ざしています。
・ ステークホルダーとの地に足のついた対話と協働を始めたい
・ 自社のCSR活動が独りよがりにならないようにしたい
・ ISO26000が提起したことを活かし、自社のCSR活動を具体的に推進
していきたい
・ NPO/NGO視点でのサステナビリティ課題・リスクを指摘してほしい
・ 持続可能な発展への貢献という言葉が絵空事にならないように、
自社活動へのステークホルダーからの真摯な言葉がほしい
このような要望や課題をお持ちの皆さまは、是非、フォーラムのホームペ-ジ
をご覧いただいた上で、お問い合わせいただければと思います。
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◇◆ 2. クレアンからのお知らせ
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●1 日経ビジネスONLINEコラム
弊社水上が、表記メディアで米ハーバード大学のマイケルポーター教授
が提唱するCSVに関するコラムを執筆しています。ご覧ください。
→ http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110530/220295/?rt=nocnt
●2 CSRセミナーのご案内
恒例のCSRセミナー「CSRコンサルタントによる基礎と実践一体講座」
を開催します。少人数での参加型形式を特長としています。
詳しくは以下をご覧ください。
→ http://www.cre-en.jp/library/seminar/110701/
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◇◆ 3. 新着Topics & News
◆◇ ~ サステナビリティ関連の動きからトピックスを紹介 ~
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今回は、5つのトピックスをご紹介いたします。
●1 改正NPO法、新寄付税制が成立 (YouTube)
: http://www.youtube.com/watch?v=ibD5xRuq3e8
今回、日本の市民社会の発展に、極めて重要な意味を持つ法案が国会で成立
しました。改正NPO法と新寄付税制です。
特に寄付税制では、認定NPO法人に寄付をした個人が所得税額の25%を上限
に寄付金の税額控除を受けられる制度が創設されました。所得税額にもより
ますが、例えば10万円の寄付をした人は約4万円が控除されて戻ってくる計
算になります。これはたいへん大きな額です。
これまでは社会を良くしようとすると、基本的に政府等に納税し、公共政
策を通じて実現を図る方法が一般的でした。しかし、今後は自らが関心を持
つ領域で公益に資する活動を行なうNPO等がいれば、それらのNPOを寄付等で
直接支援することで社会を良くするという選択肢が生まれることになります。
これらの諸制度により、NPO等の財政基盤が安定していくことが予想されて
おり、市民組織の今後の発展が期待されます。
長年に亘り、本件に取り組まれてきた皆さま、お疲れさまでした。
●2 サステナビリティ・インデックスの透明性 (Sustainability社)
: http://www.sustainability.com/library/rate-the-raters-phase-one
http://www.sustainability.com/library/rate-the-raters-phase-two
http://www.sustainability.com/library/rate-the-raters-phase-three
「Rate the Raters」(評価者を評価する)というこのプロジェクトでは、
企業の評価を行なうレイティングそのものの品質や透明性等を問う試みを行
なっています。
これらの評価がSRIやCSRの推進に重要な役割を果たしていることは言うまで
もありません。しかし、時折、これらインデックスの評価が企業のCSR面の
真の評価だと勘違いをしてしまうことがあります。
このような取り組みを通じて、評価基準についての透明性の向上、評価結果
についての説明責任の向上が図られ、より多くのステークホルダーにとって
納得感や活用度の高いインデックスが生まれることを期待したいと思います。
このような取り組みの先には、ISO26000のように透明性の高いマルチステ
ークホルダープロセスを通じて、公共財としての性格の強いインデックス等
が開発され、誰もが自由に使える時代が訪れるかもしれません。
●3 OECD 「より良いくらし指標」を発表
: http://www.oecdtokyo.org/theme/macro/2011/20110524bli.html
http://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/japan/
OECDが、「Your Better Life Index」を公表しました。GDPなどの経済性だけ
でなく、成長や生活の「質」を国の単位で評価する指標です。
2012年にブラジルで開催される国連持続可能な開発会議(Rio+20)では、
「持続可能な発展の度合いを評価する指標」の開発が重要課題として提起さ
れると考えられていますが、OECDの指標はこのような指標の開発に向けた先
進国間の地ならしとも考えられています。
このような持続的発展指標は、国連の持続可能な発展委員会が1996年段階
から開発を試みており、2007年には第三版が公開されています。将来はGDP
だけでなく持続的発展指標でも国のパフォーマンスが評価され、各国の産業
や企業も連動して評価される、そんな時代が来るかもしれません。
・参考情報
国連持続可能な発展委員会 CSD Indicators of Sustainable
Development (第3版)
http://www.un.org/esa/dsd/dsd_aofw_ind/ind_csdindi.html
●4 ペプシコとRio Tinto Global Water Awards2011を受賞 (WBCSD)
: http://www.wbcsd.org/Plugins/DocSearch/details.asp?DocTypeId=251&
ObjectId=Mzk2NDg&URLBack=%2Ftemplates%2FTemplateWBCSD2%2Flayout%2Easp%
3Ftype%3Dp%26MenuId%3DMzkz%26doOpen%3D1%26ClickMenu%3DLeftMenu
両社は、水循環の持続可能な管理に貢献したとして、2011年度の「Global
Water Awards 2011」を受賞しました。Rio Tinto社は、社会・環境・経済の
すべての側面を統合した水管理への戦略的アプローチを採用。ペプシコ社は
人権の側面から水に関する課題解決をサポートするためのガイドラインを
開発し、次の3つの目標にコミットしている点が評価されました。
1) 2015年までに生産高原単位で水使用効率を20%向上させる
2) 水不足が深刻な地域では操業過程で使用する水収支をプラスにするよう
努める
3) 2015年までに発展途上国において安全な水へのアクセスを300万人に提供
●5 ネスレ 「ストックホルム産業水アワード」を受賞 (WBCSD)
: http://www.wbcsd.org/templates/TemplateWBCSD5/layout.asp?type=p&Menu
Id=ODI&doOpen=1&ClickMenu=LeftMenu
水に関するマネジメントの促進に関するリーダーシップと活動が評価され、
同社が「ストックホルム産業水アワード」を受賞しました。同社は、1000人
の農学者と水の専門家を雇用し、農家に汚染の最小化等に向けた働きかけを
実施。さらに、30万人の農家にトレーニングとテクニカルサポートを提供し、
持続可能な水使用にむけたベストプラクティスとガイドライン確立のための
協力を進めています。
水は多くの企業活動における生命線です。日本企業も、グローバルな水の
管理基準の策定に積極的に参画していくことが期待されています。
(荒木茂善)
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