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Sustainabilityマガジン(vol.10)2012.5.14号

Sustainability マガジン vol.10 (2012.5.14号)
========================= http://www.cre-en.jp/


今回は、クレアンからのお知らせ2件、生物多様性保全に関するコラム1件を
ご紹介させていただきます。


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◇◆ 1. クレアンからのお知らせ
◆◇   
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●1 「水と企業のサステナビリティ研究会」第二期会員募集

 一般社団法人Water CSR JAPANでは、昨年度に引き続き、2012年度も
 「水と企業のサステナビリティ研究会」を実施いたします。

 2011年度に発足した当法人は、主たる活動として企業を対象とした
 会員制(有料)の研究会(「水と企業のサステナビリティ研究会」)
 を開催し、「Alliance for Water Stewardship」という国際的文脈で検討
 が進められてきた水管理ガイドラインの策定状況をフォローしながら、
 水を利用する企業が水管理を行う際に求められる視点や考え方について、
 様々な観点から整理を試みました。

 本ガイドラインのドラフトが本年3月に発行されたことを受け、2012年
 度の研究会はこの内容の詳解し、企業への影響や期待される企業行動に
 ついて掘り下げる研究活動を進める予定です。

 三回シリーズで予定する本研究会の第一回を、6月6日に実施予定いたし
 ますので、ご関心をお持ちの皆さまは是非お問合せください。


 ○お申し込みおよびご連絡先:
  研究会についての詳しい情報をご希望の方は、以下のお問い合わせ
  先までご連絡をいただければ幸いです。事務局よりご案内をさせて
  いただきます。

 【お問い合わせ先】
  一般社団法人Water CSR JAPAN  担当:内田
  E-mail: uchida(アットマーク)watercsr.jp 「(アットマーク)」は、「@」に置き換えてください
  TEL: 03-5423-6923

  ※ 2011年度の活動内容はこちらをご覧ください。
     → http://www.watercsr.jp/
  ※ 株式会社クレアンは一般社団法人Water CSR JAPANの事務局運営
      に参画しております。


●2 コラムやブログを執筆中!

  ・コラム「クレアンの震災復興支援活動 震災後1年間のご報告」
  → http://www.cre-en.jp/library/column/120514_2/

  ・サステナビリティ経営ブログ「そもそもCSVとは何か?」
  → http://www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

  ・コラム「ISO26000 誰もが何か言わずにいられない所」
  → http://www.cre-en.jp/library/column/120511/



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◇◆ 2. Sustainability Column
◆◇     ~ 事業と生物多様性との関係性を把握するには? ~
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人間活動としての事業と、自然の中に位置する生物多様性には深い関係がある。
その関係とは生物多様性が存在しなければ、事業が営めないことである。

ここでは、企業のCSRや環境担当者に向けて、事業と生物多様性との関係性は
どのような考え方で把握できるのかを知っていただくと共に、会社員であって
も生態学を専攻された方であれば、自社の事業と生物多様性との関係性の分析
や評価ができる可能性があるため、これまでの経験知をもとに必要な考え方を
まとめてみたい。


事業と生物多様性との関係性を把握するには、調達・開発・製造・販売などの
それぞれの事業活動において、関係する生態系特性を頭の中で抽出し、生物間
相互作用や機能、生物群集を頭の中で張り巡らせて、生物多様性との関係を築
き上げていく作業が必要となる。

「生態系特性」は生態学に関わっていないと聞きなれない言葉であるが、生物
多様性を知る上でとても重要な概念である。

生態系特性とは、生物多様性の構成要素である動物や植物、菌類のもつ生態系
における機能や状態をさす。例えば、動物であれば種のもつ分布(行動圏)や
量、習性、寿命であり、植物であれば種の持つ分布(面積)や量、光合成速度
のほか、根系による土壌安定性や蒸散による土壌保水能などである。菌類であ
れば菌根菌や腐朽菌などの土壌分解能や栄養塩供給能などである。

生態系特性と生態系サービスの違いも確認しておきたい。生態系サービスとは
生物多様性が生み出す生態系の機能・便益・価値である。それには供給能とし
ての水や食料、木材、調節能としての気候制御、洪水制御、文化的価値として
の審美的価値や技能、それらの基盤としての栄養塩循環、水循環、光合成など
がある。格好よくいえば、生態系サービスは生物多様性から生み出されたドラ
イバー(推進者)とコントローラー(制御者)であり、生態系特性は生物多様
性を構成するエレメントの性質といえる。

生態系サービスに余裕があるかないかは、生態系特性の規模や人間活動によっ
て大きく変化する。例えば、同じ生態系サービスであるカツオ資源であっても
西太平洋産と東太平洋産とでは、繁殖年齢や個体数など生態系特性が異なるた
め、カツオ資源漁獲の影響も異なり、資源保護への対応の仕方によっても影響
度は異なってくる。また同じ森林であっても、取水する水源地の降水量、土壌
性質、常緑・落葉性の違いで保水能が異なってくる。なお、生物多様性が高い
(豊かで)ほど生態系サービスは大きくなる傾向があるが、逆に生態系サービ
スが大きいからといって生物多様性が高い(豊か)とは限らないことが知られ
ている。

生物多様性への影響を知るには、生態系特性を見なければ、事業と生物多様性
への影響の有無や影響度をつかむことはできない。したがって、事業活動の影
響を、事業と生物多様性との関係性から導きだすには、生態系特性を推測でき
ることが基本となる。さらに、影響する生物多様性の要素である生態系特性を
つかんではじめて、事業による生物多様性への負荷低減や貢献度増大の施策を
明らかにすることが可能となる。

実際に、事業による生物多様性への影響を把握するために、さまざまな現場で
ヒアリングを行なうことがあるが、その際には生態系特性を瞬時に頭の中で整
理して、質問内容を構築し、ヒアリングを繰り返し行うことになる。

生態系特性を瞬時に頭の中で整理するワザは、企業の事業範囲が広く、関係す
る生態系が多岐に渡るため、生物多様性を専門とする人でもそう簡単なことで
はない。基礎学問の学びとフィールド調査の積み重ねが必要となる。

具体的には、日々進歩し続ける群集生態学や保全生態学、行動生態学、植物生
態学、進化学などの自然科学や環境社会学や環境法学、環境経済学などの社会
科学の学びと、森や川、湿地、干潟、沿岸などのさまざまな環境でのフィール
ドワークによる生態系の分析・評価・研究の継続的積み重ねが、生物多様性の
感性を高め、維持していく上でたいへん重要なのである。日々の鍛錬が大切に
なる。


永石文明
(生物多様性コンサルタント、東京農工大学農学部非常勤講師、野生生物保全
論研究会理事)

→ クレアンWEBコラムのページへ
  http://www.cre-en.jp/library/column/120514/



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◇◆ 3. 新着Topics & News
◆◇   ~ サステナビリティ関連の動きからトピックスをご紹介 ~
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今回は8つのトピックスをご紹介します。


●1  EIRIS グローバル企業のサステナビリティに関する報告

  EIRISが、2063ものグローバル企業のESGへの取り組みを、300を超える
  ESG指標で評価し、その結果から企業のサステナビリティへの取り組み
  の最新動向とランキングトップ50を報告しています。

  その結果によると、「持続可能性に関わる問題は非常に広範囲に亘るた
  め、大きな成果を上げるには取締役会全体の関与が必要であること」の
  ほか、以下のような重点ポイントを示しています。

  ・「世界的に見て、多くの企業が持続可能性に良い影響を示しつつある」
  ・「一部の業界(石油、ガス、鉱業など)は本質的に持続不可能であり、
    負の影響を相殺するために、より持続可能な活動に彼らのビジネス
    の焦点を合わせる必要がある」
  ・「英国および欧州企業は、アメリカやアジアの企業に比べて、持続可
    能性に関するパフォーマンスが優れている」
  ・「持続可能性へのパフォーマンスが最高レベルにあるのは、医療や代替
    エネルギーなどの持続可能な便益を提供する製品・サービスを提供し
    ている企業である」

  今回公表されているランキングを見て驚いたのは、アメリカに本社を置く
  企業が全体の6割を占めていたこと(50社中30社)。また、日本企業は一社
  しか登場しなかったことです(トヨタ、評価は5段階中3段階のC)。以下が
  ランキングのトップ10です。

    1位:Puma (ドイツ、パーソナルグッズ)
    2位:FirstGroup (英国、旅行)
    3位:National Australia Bank (オーストラリア、銀行)
    4位:GlaxoSmithKline (英国、製薬)
    5位:Roche (スイス、製薬)
    6位:Novartis (スイス、製薬)
    7位:Phillips Electronics (オランダ、レジャー用品)
    8位:Deutsche Boerse (ドイツ、金融)
    9位:Novo Nordisk (デンマーク、製薬)
  10位:The GoAhead Group (英国、旅行)

  : http://www.eiris.org/files/research%20publications/
EIRISGlobalSustainbailityReport2012.pdf


●2 欧州閣僚理事会がグリーン経済への移行を支持

    経済危機からの脱却には、グリーン経済への移行以外にないとのかなり
    強い認識表明が行なわれています。
    ここで言うグリーン経済とは、もちろん単なる環境配慮を進めた経済の
    ことではなく、「持続可能な経済社会システム」を意味しています。
    これは、現在の経済社会システムは根本的に「持続可能でない」との認
    識のもと、新たな経済社会システムの構築に向けて変革を進める必要性
    への認識を示したものと言え、6月に開かれるRio+20での議論にも意欲
    を示しています。
    日本は、何年もの間、消費税等の国内問題の議論でまさに”時”が止ま
    ってしまっており、これからの世界や経済社会システムをどうするか、
    という議論をする余裕はどこにもないように見えます。
    しかし、このような本質的な議論にしっかりと関わっておくことこそが、
    次の時代に確固とした地位をつかむ基盤になると思います。経済議論の
    周回遅れにいつまでも足を引っ張られている時間はありません。

 : http://www.mim.dk/eng/News/EU20120420_Support_green_economy.htm


●3 エグゼクティブの報酬をサステナビリティと連動させる

    エグゼクティブの報酬をサステナビリティへのパフォーマンスと連動
    させ、より長期視点での価値創造や競争力強化を強化すべきであると
    の議論が行われています。
    既に実践している企業例としてIntel、Danone、Alcoaなどがあげられ、
    S&P100の10%の企業が何らかの形でサステナビリティと役員報酬との
    連動を図っていると報告しています。

 : http://www.greenbiz.com/blog/2012/04/26/
why-its-time-link-compensation-sustainability


●4 コカ・コーラ Water Stewardship & Replenish Reportを発行

    同社は、持続可能な水資源管理に関するレポートを発行しました。
    2020年まで活動目標として以下の4つを設定して取り組んでいます
    が、その進捗を詳細に報告しています。グローバル企業の水への
    取り組みは急速に進みつつあるようです。

    〔2020年までのGoals〕
    ① 2012年までに水使用効率を20%向上(2004年比)
    ② 工場で使用した水は、水生生物の生存に適する水質で、地域の流域
    や下流で使用できる形で、100%自然環境中に還元する。
    ③ 飲料用として取水した分の水資源は、流域の保全や地域の飲料水や
    衛生へのアクセスを確保することで、これと同量の水資源を補充する。
    ④ 工場周辺コミュニティの水源の水質と水量を評価し、水へのアクセス
    に悪影響を与えることがないようにリスク管理を行なう。

 : http://www.thecoca-colacompany.com/dynamic/
press_center/2012/03/world-water-day.html


●5 EICC Code of Contuct第4版を公表

    業界全体でサプライチェーンのCSR推進を図り、さまざまな業界の先頭
    を走っている電子電気業界が、サプライヤー行動規範(CoC)の最新版を
    公表しました。

 : http://www.eicc.info/documents/EICCCodeofConductEnglish.pdf
   http://www.eicc.info/eicc_code.html


●6 環境省 生物多様性普及・啓発ツール

    環境省が生物多様性の理解促進や啓発のための各種ツールを公表。

 : http://www.biodic.go.jp/biodiversity/wakaru/library/index.html
   http://www.biodic.go.jp/biodiversity/wakaru/tools/index.html


●7 環境省 環境報告ガイドライン 2012年版公表 

    事業戦略と環境配慮との関係性についての報告、バリューチェーンに
    おける環境配慮についての報告が重視されるなど、より社会のサステ
    ナビリティ実現にむけた重点課題にフォーカスした内容となっています。

 : http://www.env.go.jp/policy/report/h24-01/index.html


●8 ISO26000のJIS規格版「JIS Z 26000」が発行

 : http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?
lang=jp&bunsyoId=JIS+Z+26000:2012&dantaiCd=JIS&status=1&pageNo=0


(荒木 茂善、水上 武彦)


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