Sustainabilityマガジン(2020.1.30号)
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このメールマガジンは、株式会社クレアンのスタッフと名刺交換をさせていた
だいた皆様および配信のお申し込みをいただいた皆様にお届けしています。
クレアン Sustainabilityマガジン (2020.1.30号)
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◇◆ 1.ごあいさつ
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こんにちは。クレアンの水口です。
昨年12月の時点で、全世界でのTCFDの賛同企業は920社、そのうち日本企業
は212社と大きな割合を占めています。多くの企業が賛同されていますが、実際
に気候変動の影響を企業戦略に組み込み、財務的な影響も含めて情報開示を
進めていくことについては、企業の方々も模索している段階かと思います。
気候変動への取り組みの一つとして、再生可能エネルギーの促進があります。
海外では既に再生可能エネルギー100%を達成している企業が数十社と存在
しています。アップルは取引先に対しても再生可能エネルギーの取り組みを求
め始めました。そんな中、日本では政策や制度の問題、欧米に比べると経済合
理性が低いことで再生可能エネルギー利用の高い目標を掲げにくい状況になっ
ています。RE100加盟のグローバル企業が、自然エネルギーが手に入らない
ことを理由に日本を拠点や取引先に選ばなくなってしまうとしたら、大きな機会
の損失になります。
TCFDへの対応を通じて未来の気候変動リスクと機会を考えることで、気候変
動に取り組まないとどうなるのかをぜひ一度考え、企業の方は社内を説得する
機会や材料にしていただければと思います。
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◇◆ 2. Sustainability Column
◆◇ ~ 「事業と統合したマテリアリティ」とは ~
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昨今、SDGs(持続可能な開発目標)が急速に普及してきましたが、同時に
「事業を通じて社会課題の解決に貢献する」「企業価値向上と社会課題解決を
両立する」といった考え方も根付いてきたように思います。そうした中で、「マテ
リアリティ」が、「CSRの重要課題」から「事業(または経営)の重要課題」へと、
位置づけが変わりつつあります。
◆今後のマテリアリティのあり方
今後の「マテリアリティ」は、「持続的成長に向け事業を通じて解決に取り組む
社会課題」を特定することが、重要になってきます。背景として、社会構造・産業
構造が急速に変化しており、従来の事業モデルをこのまま継続していくことが
大変リスクが高い、という認識が多くの業界で広まっていることも、あります。
したがってマテリアリティは、事業モデルやそれに伴う機会・リスクを考慮し、
将来の事業の方向性を示すものとなるので、マテリアリティを策定することは、
経営的に大変重要な概念を定めることになります。このように変化してきている
マテリアリティですが、具体的に「事業を通じて社会課題の解決に取り組む」には、
「事業を通じてどのように社会課題を解決していくのか」というビジョンを描くこと
が必要になります。言い換えると、マテリアリティがビジョンの中に組み込まれる
ことで、事業活動に落とし込みやすくなります。
もちろん、ビジョンを策定していないとマテリアリティは策定できない、という訳
ではありません。企業によっては、マテリアリティをまず決め、それに関する社内
浸透活動を進める過程で「当社の事業を通じた社会課題への取組みのあり方は
どうあるべきか」(=ビジョン)をボトムアップで議論していくというやり方も考えら
れます。
◆事業を通じて取り組むマテリアリティをどう策定するか
マテリアリティ(事業を通じて取り組む社会課題)を策定する際に考慮すべき
ポイントとして、次の4つを挙げさせて頂きます。
<ポイント①:世の中の社会課題を「具体的に」洗い出す>
従来のマテリアリティでは例えば「事業を通じた環境問題への貢献」といった
包括的な内容もあったように思いますが、新たなビジネス開発につなげるには、
ある程度「具体的な」社会課題を洗い出すことが重要です。この場合の「社会
課題」とは、ESGインデックスの評価指標・項目などではなく、あくまで「事業を
通じて解決する社会課題」になります。それを特定するには、まず、「世の中に
どんな社会課題があって、その影響が今後どのように広まっていくのか、当社
のビジネスとはどんな関係があるのか」を整理することが重要です。
<ポイント②:事業機会として有望なテーマを見出す>
持続的成長につながることが重要ですので、社会課題を「事業機会」としてとら
え、「今後大きく(急速に)拡大していく社会課題」、「その解決に向けて自社の
強みを活かせる社会課題」を特定することが必要です。できれば、他社が未だ
気づいておらず今後の拡大が見込めるという「潜在的社会課題」を見つけると、
事業としての成功可能性も高くなります。
<ポイント③:事業部/R&D部門と経営層が策定過程に参画する>
通常は、CSR担当部門や、経営企画部門が主体となって策定することになると
思いますが、事業部/R&D部門や経営層との協働作業として、策定過程で十分
にご意見を受けながら作りこんでいくことが大切です。できれば、プロジェクトの
早めの段階で、「社会課題に関する勉強会」等により意識合わせ・社内浸透を
図っておくと、マテリアリティ策定後の社内の納得感が異なってくるのではない
かと思います。
<ポイント④:リスク・機会を具体的に示す>
マテリアリティを策定する過程では、機会の観点とあわせて、リスクの観点でも
社会課題を評価します。社会や産業が大きく変化している中で、社会課題は
事業の機会であると同時に、それに適切に対応できない場合はリスクになる
からです。また、自社が重要ととらえる社会課題をリスクと機会の両面で説明
することで、事業変革の方向性を社内外に示すことにもつながります。
株式会社クレアン 統合経営コンサルタント 経営士 伊藤雅和
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